TBSと楽天の攻防本格化 画像

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株主、どっちを支持? TBSと楽天の攻防本格化
2005年10月28日09時59分

 経営統合を提案した楽天とTBSの攻防は、どちらがより多くのTBS株を押さえて株主の支持を集められるか、が焦点になってきた。楽天が19%超まで買い増したのに対し、取引先や系列局などに協力を求めてきたTBS側からは「安定株主は過半数を超えた」との見方も出ている。楽天が株式公開買い付け(TOB)に打って出れば、大幅に買い増す余地はあるのか。外国人投資家が保有する「失念株」の存在も注目される。

 楽天村上世彰氏が率いる「村上ファンド」に株を買い集められたTBSだが、これまでただ手をこまぬいていたわけではない。

 TBSは、取引先や全国の系列放送局などにTBS株の保有継続や買い増しを何度も要請。電通三井物産などの大株主とも業務提携の交渉を進め、長期保有してくれる安定株主づくりを積極化させてきた。

 全体の4割程度だった安定株主の割合は「ここにきて過半数に届いた」(幹部)と手応えを感じている。

 だが、不透明な要因は残っている。TBS株が買収されやすい要因の一つとみられていた、外国人投資家が保有する不安定な「失念株」の存在だ。今年3月末には全体の15%程度もあり、名義書き換えができないのを嫌った外国人投資家が株を手放せば、買収の引き金になると指摘されてきた。

 その失念株は、9月末には5%程度まで減った模様だが、楽天TOBに踏み切るなどして一度に動けば、TBSにとってはあなどれない数字だ。楽天が統合を実現するためには「4割の株を握れば可能だ」とみる法律専門家もいるからだ。

 社長を含めて取締役の選任には、株主総会に出席した株主の過半数(議決権ベース)の賛成が必要だが、総会への実際の出席率は多くても8割程度が普通とされる。その過半数を確保できれば、楽天側が経営権を握って、統合実現に向けて大きく前進するからだ。TBSが安定株主とみる取引先でも、楽天の提案にすべて反対かは不明だ。

 村上ファンドが現在TBS株をどれだけ保有しているかは不明だが、9月末現在での保有分7.45%と楽天の19%超を合わせると、全体の4分の1を超える。楽天がどこまで積み増すことができるかが、今後の攻防のカギを握りそうだ。

 楽天の幹部は27日、「『株は買わない』と言ったことはない」と述べ、さらに買い増す可能性も「ノーコメント」を繰り返している。