広島市小1女児殺害事件 ピサロ・ヤギ キャプチャー画像

広島市小1女児殺害事件 ピサロ・ヤギ キャプチャー画像

ピサロ・ヤギ容疑者「遺体、自転車で運んだ」
広島女児殺害
 広島市の小1女児殺害事件で、殺人、死体遺棄容疑で逮捕されたペルー国籍のフアンカルロス・ピサロ・ヤギ容疑者(30)が2日、広島県警海田署の捜査本部の調べに対し、「遺体は段ボール箱に入れて、自転車で空き地まで運んだ」などと具体的な供述を始めた。

 この日夜、接見した弁護士が明らかにした。しかし、殺害場所や動機についてはあいまいな供述を繰り返しているといい、県警は全容の解明に向け、捜査を続ける。

 弁護士によると、ピサロ・ヤギ容疑者は遺棄に至る状況について「女児の手首の脈がなかったので、死んだことがわかった」とし、「遺体を段ボール箱に入れる際、衣服に土が付いていたので手で払った。遺体は自転車のサドルと荷台に乗せて押して運んだ。できるだけ遠い所に運びたかった」と詳細に語った。

 遺体は、自宅アパートを出て、通学路沿いの小さな公園の横を通り、発見場所あたりに置いた。1分以内で歩ける距離だったという。県警によると、これまでのところ自転車は見つかっていない。

 女児に出会った状況については「アパートの階段近くの石垣に座り、女児が約2メートル付近まで近づいてきた時に声をかけた。約70〜80センチの距離で目が合い、名前を聞いた」としている。

 しかし、殺害の場所はこれまでと同様、自宅アパートの階段近くとしており、県警は供述の矛盾点についてさらに追及する。

 ◆おことわり◆

 広島市の女児殺害事件で逮捕された容疑者のフルネームを、今後は「フアンカルロス・ピサロ・ヤギ」とします。ペルーでの氏名表記に合わせて名、姓(ピサロ・ヤギ)の順にしました。

広島女児殺害、逮捕の男の本名は「トレス・ヤケ」

 広島市の女児殺害事件で、殺人と死体遺棄容疑で逮捕されたペルー国籍のフアンカルロス・ピサロ・ヤギ容疑者(30)について、広島県警捜査本部は8日、本名がホセマヌエル・トレス・ヤケ(33)であると発表した。

 県警が国際刑事警察機構(ICPO)を通じて、ペルー政府に照会したところ、同国が18歳以上の国民に義務付けている国民登録証の「ホセマヌエル」名義の指紋と、同容疑者のものが一致した。

 県警は、同容疑者が故郷のペルー北部グアダルーペで1990年代に起こしたとされる女児を狙った複数の事件の犯罪歴についても、ICPOを通じて確認した。

 読売新聞は今後、容疑者名の表記を「ホセマヌエル・トレス・ヤケ」とします。

広島市安芸区で下校途中の小1女児(7)が殺害された事件で、ペルー人のフアン・カルロス・ピサロ・ヤギ容疑者(30)=殺人、死体遺棄容疑で逮捕=は広島県警海田署捜査本部の調べに犯行を認める供述を始めた。だが、これまでの捜査状況と供述を突き合わせると、多くの矛盾点が浮かぶ。ある捜査幹部は「本当のことを話しているとは思えない」と話す。

 最大の疑問は犯行場所だ。ピサロ容疑者は自宅アパートの階段近くと説明。「部屋には入れていない。遺体も外で段ボール箱に詰めた」という。

 しかし、アパートがあるのは人通りも比較的多い通学路沿い。事件当日、女児が通う小学校では全児童が一斉に下校し、通り掛かるほかの子どもらに犯行を目撃される可能性も高い。

 また、女児の制服に汚れはなく、土や草なども付着しておらず、捜査本部は、ピサロ容疑者が自分の部屋に女児を連れ込んで犯行に及んだとの見方を強めている。
ヤギ容疑者偽名入国の可能性認める ペルー政府
2005年12月02日12時57分

 ペルー外務省の在外ペルー人担当のラサロ書記官は1日、広島の女児殺害事件をめぐり在リマの日本総領事と会い、ヤギ容疑者が偽名で日本に入国した可能性があることを公式に認め、本人確認のために写真と指紋の提供を求めた。また、書簡で「政府と国民を代表して深いお悔やみを申し上げる」と遺族に弔意を表した。

 また、同容疑者の妻は1日、リマ市内で記者会見して「彼は模範的な人で、2人の子供をとてもかわいがっていた。信じられない」と話した。地元テレビ局などによると、日本の警察に対して「彼にひどい扱いをしないでほしい」と懇願した。

ペルー外務省「恐ろしい出来事で残念」・広島女児殺害事件
 【サンパウロ=岩城聡】広島県での女児殺害事件で、ペルー人ピサロ・ヤギ・フアン・カルロス容疑者(30)が逮捕されたことを受け、ペルー外務省のラサロ在外ペルー人担当官は11月30日、事件について「恐ろしい出来事で残念だ」としたうえで、日本に対し「公正な裁判を保証してほしい」との声明を発表した。

 声明では、日本側に本人特定を行うために同容疑者の写真や指紋の提供を要請すると同時に、ウィーン条約に基づき、在京ペルー総領事館が同容疑者と面会することも明記。また、在日ペルー人については「勤勉で働き者で、国の発展への協力者だ」などとして、事件は「(在日同胞に)一般化できない」としている。 (13:01)
ピサロ・ヤギ容疑者、さまざまな偽名使った可能性
広島女児殺害
 【リオデジャネイロ=中島慎一郎】ペルー外務省のエテル・フロレス報道官は1日、本紙に対し、広島市安芸区の小学1年生、木下あいりちゃん(7)殺害事件で逮捕された日系ペルー人のピサロ・ヤギ・フアン・カルロス容疑者(30)が、様々な偽名を使っていた可能性があると語った。

 同報道官は、ピサロ・ヤギ容疑者が、日系人を装って来日した可能性も否定できないとして、身元確認のため同容疑者の顔写真や指紋の提出を日本側に求めるよう東京のペルー総領事館に指示したことを明らかにした。

 同報道官によると、数か月前、「フリオ・セサル・ピサロ・ヤギ」の名前で東京のペルー総領事館に在留届を提出した男がいた。総領事館が本国に照会した結果、この名前の人物は存在せず、在留届は受理しなかった。一方で、男が「ピサロ・ヤギ・フアン・カルロス」「ロベルト・フランク・ピサロ・バルガス」の名で2重に住民登録した人物と同一であることがわかったという。どのような情報を基に在留届けを出した男と同一人物と判断したのか、なぜ2重登録が可能だったのかについては説明しなかった。

 一方、ラジオ局RPPのホームページによると、ペルー外務省のホルヘ・ラサロ在外ペルー人担当局長は30日、リマ市内で記者会見し、日本が正当な裁判を行うよう求めた。また、同容疑者が取り調べを受けている広島県警海田署に捜査の進捗状況を問い合わせる方針を明らかにした。

(2005年12月2日0時46分 読売新聞)
ピサロ・ヤギ容疑者、異郷なじめず…広島女児殺害

犯行当日、ピサロ・ヤギ容疑者が自宅アパート近くで、通りがかりの子どもを見ている姿が目撃された場所(×印) 来日から約1年半、広島市の女児殺害事件で30日逮捕された日系ペルー人のピサロ・ヤギ・フアン・カルロス容疑者(30)は、日本語をほとんど話せないまま転職、転居を繰り返してきた。ペルーに残した妻子に仕送りをする家族思いの一面がある一方、同僚や隣人となじめず、トラブルは絶えなかった。“異郷の地”で、何が凶行に走らせたのか。

 女児の遺体が入れられた段ボール箱が見つかった現場周辺では、事件前にも、ピサロ・ヤギ容疑者に似た男が下校途中の児童らをじっと見つめる姿が目撃されていた。

 前日の21日夕。殺害された女児宅に近い国道交差点で、ガムをかみながら、児童らに視線を向ける男がいた。近所の主婦(55)は「肌の色が浅黒く、がっしり型。ピサロ・ヤギ容疑者に似ていた」と証言する。

 1か月ほど前にも、ピサロ・ヤギ容疑者のアパートに近い公園で、鉄棒の練習をしていた小学6年の女児(12)の様子を、街灯の下からうかがう南米系の男がいた。

 「普段はおとなしいが、キレると怖い。いつか、とんでもないことを起こすのでは、と思っていた」

 ピサロ・ヤギ容疑者が登録していた広島県海田町の人材派遣会社の社員は、そう話す。

 10月、同町内の自動車部品製造工場を辞める直前、ピサロ・ヤギ容疑者が足にけがをした。

 「泥棒。どういうつもりだ」。治療に訪れた病院で、ピサロ・ヤギ容疑者は突然、付き添っていた派遣会社の社員にスペイン語で怒声を上げた。

 社員が病院に現金で治療費を支払った際、病院の事務員が社員に差し出した釣り銭を「自分のもの」と言い張った。こうした奇行は度々あったという。

   ■    □

 昨年4月の来日当初は、別の〈顔〉を見せていた。

 自動車メーカーの下請け工場が多い三重県鈴鹿市。自動車部品製造工場で働きながら、週末になると、親類や友人らとディスコに繰り出し、陽気にダンスを楽しんでいた。

 先に来日した姉夫婦の1Kのアパートに同居。顔見知りのペルー料理店の日系ペルー人の男性店員(40)によると、ピサロ・ヤギ容疑者は、給料から毎月3〜4万円を、ペルーのリマに残した妻子に送金していた。妻に「愛しているよ」とうれしそうに電話をしている姿が印象に残っているという。

 しかし、「仕事がしんどい」「給料が安い」と職場への愚痴が増え始め、7か月で工場を退職した。その後、しだいに人との付き合いが減っていった。

 広島に移り住んだのは、今年6月。ここでも仕事は長続きせず、来日後、計五つの工場を転々とする。最後の職場となった海田町の工場では、同僚の日系ペルー人らともなじめず、休憩時間にはいつも一人でポツンと座っていることが多かった。

 「暗くて、不気味な人」。ピサロ・ヤギ容疑者のアパートの周辺住民らは、そう口をそろえた。

   □    ■

 来日時、「国に、7歳の男の子と2歳の女の子がいる」と周囲に自慢していたピサロ・ヤギ容疑者。鈴鹿時代を知る日系ペルー人の知人は「明るくまじめな男だったのに……。自分の子供と同じ年ごろの女の子を、本当に襲ったのか。何が何だかわからない」と声を震わせた。

 リマの北約700キロの小さな町に住むピサロ・ヤギ容疑者の母親は、地元テレビのニュースで息子の逮捕を知り、ショックのため寝込んでいるという。

広島市の小1女児殺害事件で送検されたフアン・カルロス・ピサロ・ヤギ容疑者(30)は1日午前9時ごろ、約30人の報道陣が待つ中、捜査本部のある広島県警海田署を出発。紺色のジャンパーを頭からかぶり、3人の署員に促され、うつむいてワゴン車に乗り込んだ。

 同署2階の外階段から出てきたピサロ・ヤギ容疑者は、車まで20メートルほどをゆっくりとした足取りで進み、頭のジャンパーを両手でしっかりとつかみ、顔を隠していた。

 一方、広島市安芸区の遺体発見現場には献花台が設置され、「もうだいじょうぶだよ。こわいひとつかまえたからね」と書かれたメッセージカードが入った花束が供えられていた。

 手を合わせていた男性(75)は「安らかに眠ってもらいたい。私も7人女の子の孫がいる。二度とこんな事件は起きてほしくない」。小学1年と5年の男児を連れて登校した母親(35)は「逮捕でほっとした。下の子はトイレに1人で行けないほど怖がっていた。でもまだ子どもだけで通学させるのは心配」と話した。(共同)