耐震強度偽装事件 キャプチャー画像


国交相耐震偽装「大手ゼネコンも見抜けず残念」
 北側一雄国土交通相は9日の記者会見で、耐震強度が偽装された問題物件の施工に鹿島と大林組の関与が発覚したことについて「下請けに出したという理由はあるだろうが、日本を代表する大手ゼネコンが見抜けなかったのは非常に残念だ。理由を聞かせていただかないといけない」と指摘した。

 国交省は、姉歯秀次元1級建築士が設計に関与した物件のうち、新たに和歌山市の「サンホテル和歌山」で構造計算書の偽造が確認できたことも発表し、判明分は和歌山県を含む16都府県の計63件となった。

 和歌山市の報告によると、耐震強度は最低基準の62%。既に営業を自粛しているという。

 北側国交相は「姉歯建築士の関与物件はもちろんだが、木村建設平成設計の物件についてもしっかり調査したい」と述べた。〔共同〕
姉歯建築事務所の耐震偽装63件に・和歌山で1件確認
 国土交通省は9日、姉歯建築設計事務所による偽装を新たに1件確認し、16都府県で計63件になったと発表した。

 新たに確認されたのは既に営業を休止しているサンホテル和歌山(和歌山市)。耐震強度建築基準法で定められた水準の62%だった。木村建設熊本県八代市)などが施工し、同社子会社の平成設計(東京・千代田)が設計を元請けしていた。

建て替えなど80億円支援
耐震強度偽造問題 政府が総合対策決定
 耐震強度偽造問題で、政府は六日午前、強度不足の分譲マンションの取り壊しや、住民の移転費用などの公的支援を盛り込んだ総合対策を決めた。強度不足のマンション建て替えなど今回の偽造問題に約五十億円が必要と試算。裁判などで責任がはっきりすれば、建築主や建築士らに投入した公費分を請求する。また、一般のマンションなどの耐震診断費約三十億円を含めると八十億円規模の公的支援となる。 

 同日の閣議後会見で、北側一雄国土交通相は「建築確認という公の事務で偽造を見抜けなかったため、行政として支援を決めた」と述べた。

 倒壊の恐れのあるマンションの解体費用は建築主が支払えない場合は全額公費で負担。建て替えも階段など共有部分を中心に公費負担とする。マンションを地方自治体がいったん買い取って解体、再び分譲することも選択肢の一つとして住民に提示し、移転、再建のための相談窓口も設ける。

 マンションの買い取り価格は建物に価値がないため、土地価格相当とする。

 これら支援の対象は、建築基準法で求めた強度の半分に満たず、同法に基づく使用禁止命令を受けるなどした分譲マンションで、ヒューザー(東京都千代田区)が建築主の東京都や神奈川県の七棟。

 建物全体の約二割を占める共用部分や一定の利子負担の助成はあるものの、建て替え後のマンションの住民負担は、一世帯当たり数千万円になる場合もある。

 公費の財源は、国が約45%、地方自治体が約55%を負担する地域住宅交付金制度を活用する。これら建て替え計画を住民に示し、区分所有法に基づく五分の四の賛成が得られれば、建て替え支援計画を進める。
耐震偽造で住民支援策決定−自治体が危険物件買い取り
政府は6日、耐震強度偽造問題を受け、官房長官国土交通相財務相など8閣僚による会合で、耐震性が不十分なことが確認されている分譲マンションの住民らへの支援を中心とした総合対策を正式決定した。

危険なマンションを地方自治体がいったん買い取って解体、建て替えて住民に再び分譲する緊急対策事業を盛り込んだのが特徴。安倍晋三官房長官は「政府は国民の不安を解消するためスピーディーで遺漏なき対応をしていく」と述べた。

必要な費用は80億円程度になる見込み。次期通常国会に提出する予定の補正予算案に計上する。建て替えなどへの補助が約50億円、耐震診断促進などで約30億円。

対象は耐震強度が基準の50%未満で震度5強地震による倒壊の恐れがあり改修での対応が困難な物件。国交省は「現時点でこの基準に合うことが確認された物件は、ヒューザー(東京)が売り主の7棟」としている。

このほか、(1)移転費を被災者生活再建支援制度に準じて最高100万円助成(2)転居先での家賃の補助(3)ローン返済期間の延長による毎月の支払額の軽減や金利の減免(4)固定資産税の負担軽減−を盛り込んだ。  続きを読む