みずほ証券 ジェイコム株 大量注文ミス キャプチャー画像
みずほ証券は、マザーズに新規上場した人材派遣会社「ジェイコム」株売買で、担当者が1株61万円の売り注文を誤って1円で61万株と入力、結果としてすべての取引が成立したという。株の大部分を買い戻したが、損失額は300億円以上になるという。
ジェイコム株の取引停止 みずほ、約10万株が未決済
東京証券取引所は9日、みずほ証券による大量な売買注文ミスがあったジェイコム株について、取引を終日停止措置とした。記者会見した東証の天野富夫常務は「決済方法について思惑を呼ぶ不安定な状況になっており、市場全体の安定性を優先すべきと考えた」と説明。東証が売買異常を理由に取引停止するのは1998年3月以来。取引再開の時期は「白紙」としている。
天野常務は、みずほ証券が大規模な注文ミスによって、事実上の空売りをしてしまったジェイコム株について、決済のために買い戻せていない株が「相当程度ある」と説明。市場推定では、未決済株は10万株程度あるとみられ、東証は決済不能に陥ることを回避する緊急対応策の検討に入った。
与謝野馨金融相は会見で、異常な取引をなぜ防げなかったかを調査する意向を示した。
ジェイコム株、終日売買停止
買い戻し混乱回避
みずほ証券がジェイコム株を大量に誤発注した問題で、東京証券取引所は九日午前、ジェイコム株の売買取引を終日停止すると発表した。東証の天野富夫常務は会見で、八日の時点で売買停止にする選択肢があったことを認めた上で「八日の売買の実態を把握した上で判断した」と説明した。
注文ミスによって、市場では十万株以上が売り越しのまま未決済で残っているとの観測が広がっている。みずほ証券が決済のためジェイコム株をさらに買い戻しに動くと想定され、東証は市場の混乱を回避するために、売買停止を決めた。
みずほ証券は八日、ジェイコム株の「六十一万円で一株の売り」を「一円で六十一万株の売り」と誤って発注。売り注文を出したとほぼ同時に六十七万二千円の初値が付き、取引できる値段の下限(ストップ安)は五十七万二千円と決まった。
みずほ証券の売り注文の内容も、自動的に下限値の五十七万二千円に変換されたが、みずほ証券は売値を「一円」に設定したままで注文取り消しの操作をしたため、東証のシステムに認識されなかったとみられる。
自動的に注文内容が変わる点について東証は、「常識と思っていた。一円の注文を取り消そうとするとは思わなかった」(天野常務)と指摘、認識の違いを明らかにした。注文が制限値幅を超えた場合の扱いは東証の業務規定に明記されている。
東証は決済不能に陥ることを回避する方策の検討に入った。みずほ証券などと協議を続け「取引から四営業日目」とされている株券の引き渡し日を延期する案や、現金を払い売買契約を解除する案なども浮上している。
東証、ジェイコム株売買を終日停止…市場混乱を回避
みずほ証券による株式売買注文の大規模な誤発注に関連し、東京証券取引所は9日、取引対象となった新興企業向け市場マザーズに8日上場した総合人材サービス業ジェイコム株の売買を終日停止する、と発表した。
同社の発行済み株式総数を大きく上回る売り注文を出したため、「売買の状況に異常がある」と判断した。
このため、みずほ証券と東証は、買い手の投資家に株券を渡すのは極めて難しいと判断し、代わりに現金を支払う対応策の検討に入った。金融庁も、みずほ証券などの売買システムなどのチェックに乗り出す方針だ。
東証の売買停止は「売買の状況に異常があり、売買継続が適当でない」ことを定めた業務規定第29条3号に基づく措置だ。「みずほ証券が市場から少しでも多くの株式を取得すると見た投資家が、投機的な買い注文を集中すれば、市場の混乱が続きかねない」として停止を決めた。売買状況の異常を理由とした取引停止は1998年3月以来。
12日以降もジェイコム株の売買停止を続けるかどうかは「白紙」(東証の天野富夫常務)としている。
一方、みずほ証券は8日、ジェイコムの発行済み株式総数の42倍に相当する61万株の売り注文を出し、その後、慌てて一定割合を買い戻したが、残る10万株は一般投資家などの買い手が付いた模様だ。
買い手には決済日の13日に株券を渡す必要があるため、対応策として、みずほ証券と東証は、相場の変動などで決済不能になった場合に、買い手の投資家に、売買契約を一定の値段を決めて差金(さきん)決済する方法の適用を検討している。
この手法は、1950年代まで証券界で用いられていたもので、今回、早期に事態を収拾し、市場の混乱を収めるために活用を検討することにした。
これに先立つ、9日午前1時50分、天野常務は会見し、「異常な売り注文数から誤発注と考え、みずほ証券に取り消しを要請した」ことを明らかにした。
ジェイコム株を取引停止
東京証券取引所は9日、みずほ証券による大量な売買注文ミスがあったジェイコム株について、取引を終日停止措置とした。記者会見した東証の天野富夫常務は「決済方法について思惑を呼ぶ不安定な状況になっており、市場全体の安定性を優先すべきと考えた」と説明。東証が売買異常を理由に取引停止するのは1998年3月以来。取引再開の時期は「白紙」としている。
天野常務は、みずほ証券が大規模な注文ミスによって、事実上の空売りをしてしまったジェイコム株について、決済のために買い戻せていない株が「相当程度ある」と説明。市場推定では、未決済株は10万株程度あるとみられ、東証は決済不能に陥ることを回避する緊急対応策の検討に入った。与謝野馨金融相は会見で、異常な取引をなぜ防げなかったかを調査する意向を示した。
決済不能の回避策について、東証はみずほ証券などと協議を続けているが、「取引から4営業日目」とされている株券の引き渡し日を延期する案や、現金を払って売買契約を解除する案なども浮上している。
9日の東京株式市場の日経平均株価は、前日終値比220円69銭高の1万5404円05銭と、大幅反発して取引を終えた。大量注文ミスが市場全体に及ぼした不安感は沈静化した形だ。
ジェイコム株決済、できるだけ自分たちでやりたい=福田みずほ証券社長
2005年12月09日15時55分
[東京 9日 ロイター] みずほ証券の福田社長は、9日午後、与謝野経済財政・金融担当相を訪問した後、記者団に対し、ジェイコム<2462.T>株の誤発注の原因について、「引き続き調査中」と述べた。ジェイコム株の決済については「できるだけ誠心誠意、自分の力でやりたい」と述べたが、具体的な手法については言及しなかった。
責任問題については「混乱を早期に収拾するのが責任で、今の課題に全力をあげたい」と語った。
与謝野担当相との会談では、同相から「資金繰り的には安心しているという言葉をもらった」ことを明らかにした。
みずほ証券社長、ジェイコム株誤発注で金融相に陳謝
みずほ証券の福田真社長は9日午後、金融庁に与謝野馨金融相を訪ね、8日のジェイコム株式の誤発注について陳謝した。福田社長は、金融相との会談後、庁内で記者団に対し、「私からはおわび申し上げた。金融相からは、決済を進めることと再発防止を求められた」と語った。
さらに、引き続き原因究明を進めていく考えを示した上で、売買の決済については「できるだけ誠心誠意、自分の力でやっていきたいと申し上げた」とした。金融相からは「みずほグループの一員ということで、資金繰り的には安心している」と言われたという。
自身の責任問題については、「現在の混乱を早期に収拾することで責任を果たしたい」と語った。再発防止の具体策に関しては、「人材とシステムの災害」との認識を示した上で、社員の教育・研修を充実させる考えを示すとともに、「警告(アラーム)がもっと効くような(売買発注)システムに作り替えることを、とりあえず考えている」と述べた。〔NQN〕 (15:43)