児童ポルノ 組織摘発 画像

児童ポルノ 組織摘発 画像

インターネット上の児童ポルノ

最近、インターネットの普及に伴い、インターネット上の児童ポルノが国際的に大きな問題となっている。これは、インターネットによる画像送信、受信の容易性、匿名性により児童ポルノに対する嗜好が著しく高まってきたものと推測されるからである[xxiv]。その中でも日本はインターネット上のポルノの主な発信源である、と批判されてきていた[xxv]。1999年に同法が施行された当初は、児童ポルノが氾濫していると指摘されていたわが国のネットポルノに大きな影響が認められた。警察は、児童ポルノ掲示しているサイトをピックアップして監視していたが、同法の施行を境に、児童ポルノ掲示サイトの相当数が、児童ポルノ掲示を中止するか、サイト自体を閉鎖した、と報告している。したがって、初期的には、児童買春・児童ポルノ処罰法は、ネット上の児童ポルノの防止に効果を発揮したといえる。しかしながら、その後、ネット上から児童ポルノが減少し続け、消滅するという動きではない、と考えられている。同法が、インターネット上の児童ポルノに対して、どれほどの影響力を持っているのかは、甚だ疑問である。

また、インターネット上の児童ポルノに対しては、誰が法的責任を負うのかが鮮明ではないという問題もある。システムにそのポルノを持ち込んだ人間なのか、システムオペレーターなのか、ポルノの製作者か、ポルノをダウンロードしたものなのか。この点については、今後検討が必要であろう。

児童ポルノの単純所持

同法においては、児童ポルノの単純所持についての規定がない。捜査の拡大の危険が多きすぎるというのは確かだが、被写体となった児童にしてみると、いつまでも自分の屈辱的な姿態が残っているという状況は改善されていないということになる。頒布の禁止により地下に潜った児童ポルノのマーケットを撲滅するためには、所持自体を違法とする必要があろう。今や、児童ポルノは、現代社会にとって有害な脅威であるととらえられているので、同法で児童ポルノの単純所持を禁止していないことは、大きな問題であろう

(児童買春・児童ポルノ

1.児童買春とは

 広い意味では、児童買春とは、金銭等を供して(約束を含む。)児童から性的サービスの提供を受ける行為を言い、児童ポルノとは、児童を描いたポルノグラフィーを言う。これらは、いずれも児童の権利を著しく侵害する行為であり、児童の権利条約の採択(平成元年、わが国の批准は平成6年)以降、これらの問題に対する関心が内外で高まっている。

2.規制状況

 わが国においては、児童買春・児童ポルノに関して、児童福祉法や青少年保護育成条例等の法令により規制がされているほか、13歳未満の児童が児童買春の対象となる場合には、刑法の強姦罪等の規定により処罰の対象となり、児童ポルノがわいせつ性を有すると認められる場合には、刑法のわいせつ図画頒布等罪の規定により処罰の対象となる。なお、現在、強姦罪等に該当しない児童買春の国外犯や、わいせつ性を有すると認められない児童ポルノの問題等に対処するための議員立法の動きがある。

3.組織犯罪との関連

 児童買春・児童ポルノに金銭等を支払う小児性愛者は、組織犯罪が目をつけやすい資金源獲得対象であり、特に欧州においては、児童を商業的性的搾取の対象とする組織の存在が問題となっている(※事例)。また、わが国においても、例えば児童福祉法違反事件に係る検挙人員の21.0%が暴力団関係者であり(平成9年)、今後、児童買春・児童ポルノに係る法規制が整備されるにつれ、暴力団関係者や国際的組織犯罪の関与が更に問題となることが予想される。

4.取締状況等

 児童買春・児童ポルノについては、現在、警察等において、関係法令を駆使した取締に努めているが(表2)、国内的には、いわゆる「援助交際」の蔓延等、児童買春等の拡大が社会問題化している。
 また、取締りと並行して、この種事案の潜在化を防止し、児童の立ち直りに資するため、児童が安心して相談や届け出ができる環境の整備や、カウンセリングなど必要な支援体制の整備に努めている。

5.リヨン・グループにおける議論

 法執行プロジェクト・サブ・グループのプロジェクトの一つとして検討されている。
※事例 (ベルギー連続少女誘拐殺害事件)
 1995年(平成7年)6月、ベルギー東部のリエージュ市で当時8歳の少女2名が失踪、1年2ヶ月後に同国南部シャルロア地区に住む男の自宅裏庭から発見された。誘拐後監禁しレイプを繰り返して餓死させる残忍な手口であった。同事件をきっかけに性的搾取目的の国際的な人身売買組織の存在が明らかになり、逮捕者10名を出す全欧規模の事件となった。

(その他の国際組織犯罪)

 リヨン・グループでのその他の取り組み
 リヨン・グループでは、特定の犯罪類型、犯罪組織を取上げ、捜査の経験、手法等につき情報交換、共同研究を行うことを目的に、種々のプロジェクトを取り上げ、ないし今後取り上げることとしている。例えば、薬物密輸、金融詐欺、ロシア東欧組織犯罪、児童ポルノ、盗難車両、ボーダーコントロール、支払いカード。
児童買春、児童ポルノの事犯は、ほとんどが警察の捜査によって明らかにされる。よって、児童買春・児童ポルノ処罰法の取締り等については、国内外から警察の取組みに大きな期待と関心が寄せられている。警察としては徹底した検挙に努め、1人でも多くの児童を保護するという決意を持って望む必要があるだろう。さらに、日本国民による海外での児童買春等の国外犯については、この種の事犯に対する国際的な非難が法制定の1つのきっかけであったことを認識し、積極的な端緒入手に努めなければならない。また、児童買春・児童ポルノ事犯の端緒入手方策は、あらゆる警察活動を通じて行われることとなる。特に、インターネットを利用した児童ポルノ犯等については、サイバーパトロールによる端緒入手が効果的であり、児童買春等の国外犯の端緒入手においては、今後、小児性愛者等の動向の把握も視野に入れる必要があると考えられる